静力学つり合い 計算機 戻る
構造解析ソルバー

静力学的平衡 — 力とモーメントのつり合い計算機

支持条件・荷重・モーメントを設定すると未知反力を自動計算。自由体図をリアルタイムに描画し、つり合いを数値で検証します。

構造設定
梁スパン L
m
支持条件
左端 A
右端 B
集中荷重(最大5個)
大きさ [kN] 角度 [°] 位置 x [m] ラベル
集中モーメント
大きさ [kN·m]
位置 x [m]
正:反時計回り(CCW)

静力学のつり合い式

静定の2D剛体に対する3つのつり合い方程式:

$$\sum F_x = 0 \quad \sum F_y = 0 \quad \sum M_A = 0$$

静定条件:未知反力数 = 3(方程式数と一致)

ピン支持 → $A_x, A_y$(反力2個)  ローラー → $B_y$(反力1個)  固定端 → $A_x, A_y, M_A$(反力3個)

不静定次数 $= $ (未知反力数) $- 3$

計算結果
--
Ax [kN]
--
Ay [kN]
--
By [kN]
--
平衡誤差
可視化(自由体図)
CAE連携 FEM解析前の境界条件確認と反力の手計算 / 梁・フレームの概略設計 / NASTRAN・ABAQUS・ANSYS におけるSPC設定ミスの検出。静定近似と比較することでモデリングエラーを早期に発見できます。

静力学的平衡とは?

🙋
梁の「静力学的平衡」って具体的にどういう状態ですか? ただ動いていない、ということですか?
🎓
基本的にはその通り! 梁が完全に釣り合って静止している状態を指します。実際には、押す力・引く力がすべて打ち消し合い、さらにねじろうとする作用(モーメント)もすべて打ち消し合っているときに成立します。例えば本棚は静力学的平衡にあり、支柱の押し上げる力が本の重量と釣り合っています。上のシミュレーターで集中荷重を追加してみると、反力が瞬時に調整されて梁が釣り合うのが分かります。
🙋
なるほど! ということは、さっき出てきた3つの式($\sum F_x=0$ など)はこの「釣り合い」のためのチェックリストみたいなものですか?
🎓
その通り。譲れない3つのルールです。最初の2つは水平方向と垂直方向の力のつり合い、3つ目の $\sum M_A=0$ は任意の点Aまわりの回転のつり合いを表します。よくある失敗は、モーメントのつり合いを忘れること。例えばレンチを押すとモーメントが発生します。シミュレーターでスライダー L を動かして荷重位置を変えると、反力は変化しますが、支点のモーメントは劇的に変わります — これがモーメントのつり合いの実例です。
🙋
じゃあ、ここで解が得られれば、実際の梁の設計も安全と言えるんですか?
🎓
良い質問です。この計算機が示すのは、つり合いに必要な「反力」だけです。つまり、構造が静定で解けるかどうかを判定する道具です。「安全かどうか」は材料強度の評価が別途必要で、これは次の段階の話になります。CAEではこの計算がまず重要な最初のステップになります:ANSYSやNASTRANでFEM解析を行う前に、この手計算で境界条件を検算する。ソフトの反力がこのシンプルなモデルと一致しなければ、支持条件の設定ミスを疑うべきです。

物理モデルと主要式

2D剛体が静力学的平衡となる基本条件。並進方向と回転方向のつり合いを保証します。

$$\sum F_x = 0 \quad \sum F_y = 0 \quad \sum M_A = 0$$

$\sum F_x$:水平方向の全ての力の総和(例:水平反力)。
$\sum F_y$:垂直方向の全ての力の総和(例:荷重、垂直反力)。
$\sum M_A$:任意に選んだ点A(多くの場合は支点)まわりのモーメントの総和。モーメントは「力 × 点Aまでの垂直距離」で計算します。

単純支持梁の支点Aから距離 $a$ の位置に集中荷重 $P$ が作用するとき、垂直反力はつり合い方程式から次のように導かれます。

$$R_{Ay}= P \frac{L-a}{L}\quad R_{By}= P \frac{a}{L}$$

$R_{Ay}, R_{By}$:支点A・Bの垂直反力。
$L$:梁の全長(シミュレーターで操作する主要パラメータ)。
$a$:支点Aからの荷重位置。
反力が荷重位置に直接依存することが分かります。$a=L/2$(中央載荷)のとき、両支点の反力は等しくなります。

実応用例

構造物の概略設計:建物や橋の梁・柱・支点のサイジングに使われます。詳細解析の前に、最大反力を把握して支持形式の選定や部材寸法の見積もりを行います。

CAE/FEMモデルの検証:CAEワークフローの重要ステップ。ABAQUSやANSYSなどで詳細FEMモデルを構築した後、ソフトが出した反力と手計算による静力学的平衡の結果を照合します。不一致は境界条件・拘束設定の誤りを示すサインです。

機械・部品設計:クレーンブーム、フォークリフト、シーソー、棚ブラケットなど、ピン・ヒンジ・支点に作用する力を静力学的平衡から求めることで、機械が荷重で倒れたり崩壊したりしないことを保証します。

教育・法規チェック:建築基準法等で要求される基本的な荷重経路と力の分配の確認に使われます。構造力学の基礎概念として教育され、より高度な構造解析の土台となります。

よくある誤解と注意点

まず、「力がつり合っていれば絶対に壊れない」と思っていませんか? これは大きな誤解です。このツールで計算する「つり合い」は、物体が動かない(回転も含む)ための必要条件にすぎません。部材自体がその力に耐えられるか(強度)、たわみが許容範囲か(剛性)は別問題です。例えば反力が100Nと計算されても、それを支えるワイヤーが細すぎればすぐに切断されます。つり合い計算は安全設計の「第一歩」と考えてください。

次に、荷重作用点の重要性は見落とされがちです。集中荷重の作用点を少しずらすだけでモーメントが変わり、反力が大きく変化します。例えば10mの梁の中央に100N、あるいは端から1mに100Nを載せる場合では、反力分布はまったく異なります。設計では「最悪の荷重位置」を想定して計算することが鉄則です。

最後に、「ローラー支持は摩擦ゼロ」という理想化を忘れないでください。実務ではローラー支承にも多少の摩擦があり、シミュレーターのように水平反力が完全にゼロになることは稀です。簡易計算で得た反力にはある程度の安全率を見込む必要があります。本ツールで学べるのは「理想モデル」であり、現実にはさまざまな要素が上乗せされると理解しておきましょう。

よくある質問

支持条件(固定端、ピン、ローラーなど)は拘束する自由度が異なります。ローラー支持は垂直反力のみ、ピン支持は水平・垂直反力、固定支持はさらに反モーメントが発生します。設定を変えると未知反力の数が変わるため、計算結果も変化します。
本ツールでは反時計回り(CCW)のモーメントを正、時計回りを負としています。設定画面でモーメントの向きを指定する際は、矢印の方向に注意してください。つり合い計算では、すべてのモーメントの総和が0になるよう自動処理されます。
荷重・支持条件を入力後、必要に応じて「計算」ボタンを押してください。入力値に矛盾(例:同じ位置に2つの支点)があると描画が停止します。ブラウザを再読み込みすると改善する場合もあります。
本ツールは集中荷重を最大5個、集中モーメントを1個まで設定可能です。分布荷重は現バージョンでは未対応ですが、複数の集中荷重の組み合わせで近似できます。設定の際は、荷重位置の重なりやつり合い式の過剰拘束に注意してください。

使い方ガイド

  1. 梁スパン長(spanVal、1〜20 m)をスライダーまたは数値入力で設定し、左端A(ピン/固定端)と右端B(ローラー/ピン/なし)の支持条件をボタンで選択します。
  2. 集中荷重を入力欄から追加し、モーメントの大きさ(momMag、kN·m)と作用位置(momPos、左端からの距離)を指定します。
  3. 「計算」を押すと反力 Ax・Ay・By が自動計算され、つり合い(ΣF=0, ΣM=0)を検証し、平衡誤差を kN または kN·m で表示します。

計算例

スパン L=6 m の鋼製梁、左端Aがピン(x=0)、右端Bがローラー(x=6 m)。荷重:x=3 m に下向き 15 kN(角度 270°)、x=2 m に反時計回り(CCW、入力値 +20)の集中モーメント 20 kN·m を作用させた場合。Aまわりのモーメント式 By·6 = 15·3 − 20 から By = 4.17 kN(上向き)、垂直方向のつり合いから Ay = 15 − 4.17 = 10.83 kN、水平方向は Ax = 0 kN。連立を厳密に解くため、平衡誤差はほぼ 0(10⁻¹⁵ オーダーの数値誤差のみ)と表示されます。

実務上の注意点