三体問題 シミュレーター EN · ZH
Classical Mechanics / Chaos

三体問題 シミュレーター

3天体の重力相互作用をリアルタイム可視化。figure-8周期解・ラグランジュ安定三角形など特殊解から、ポアンカレが1890年に証明した一般解不在の「カオス」まで体験。

プリセット
パラメータ設定
● 質量 m₁ 1.00
● 質量 m₂ 1.00
● 質量 m₃ 1.00
G 定数 1.00
軌跡の長さ 800 pt
再生コントロール
軌跡の比較
全エネルギー E
角運動量 L
0.00
経過時間 t
三体問題シミュレーション — リアルタイム状態値
天体 x y vx vy
天体1 (青)
天体2 (ピンク)
天体3 (緑)
天体1(青) 天体2(ピンク) 天体3(緑)
エネルギー内訳
運動エネルギー:
ポテンシャルエネルギー:
全エネルギー:
角運動量 (z成分):

ニュートン重力方程式(三体)

各天体 $i$ に働く重力加速度:

$$\ddot{\mathbf{r}}_i = G \sum_{j \neq i} \frac{m_j (\mathbf{r}_j - \mathbf{r}_i)}{|\mathbf{r}_j - \mathbf{r}_i|^3}$$

全エネルギー(保存量):

$$E = \frac{1}{2}\sum_i m_i |\dot{\mathbf{r}}_i|^2 - G\sum_{i < j}\frac{m_i m_j}{|\mathbf{r}_i - \mathbf{r}_j|}$$

角運動量(保存量):$\mathbf{L} = \sum_i m_i (\mathbf{r}_i \times \dot{\mathbf{r}}_i)$

数値積分:リープフロッグ(Störmer–Verlet)、$\Delta t = 0.0005$

ポアンカレ(1890年)は一般三体問題が解析積分を持たないことを証明。これがカオス理論の出発点となった。

関連分野: 天体力学・太陽系安定性解析 / 宇宙機軌道設計(ラグランジュ点利用) / N体問題の数値積分法(Barnes–Hut、Fast Multipole Method) / 連星系・系外惑星系のダイナミクス研究

フィードバック
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三体問題シミュレーターとは

🧑‍🎓
三体問題って何ですか?太陽と地球みたいに2つなら楕円軌道できれいに解けるのに、天体が3つになるとどうしてそんなに難しいんですか?
🎓
ざっくり言うと、3つの天体が互いに重力で引き合う運動は、長期的に予測できない「カオス」の世界に入っちゃうんだ。ポアンカレが証明したように、一般解をきれいな数式で表すことは原理的に不可能なんだよ。でも、このシミュレーターで上の「プリセット」から「Figure-8」を選んでみて。2000年に発見された、等質量の3つが8の字を追いかける、めったにない美しい周期解が見られるよ。
🧑‍🎓
え、そうなんですか!確かに8の字できれいに回ってる!でも、この「質量 m₁」のスライダーをほんの少しだけ、例えば1.0から1.001に変えたらどうなりますか?
🎓
良いところに気づいたね。それが三体問題の本質だ。初期条件やパラメータのごくわずかな変化が、時間が経つと軌道を完全にめちゃくちゃにするんだ。シミュレーターで試してみて。最初は似た動きでも、すぐに複雑に絡み合い、最後には1つが吹っ飛んでいったりする。これが「初期値敏感性」、つまりカオスだよ。実務では、宇宙機をラグランジュ点に置くときも、微小な摂動を常に監視・制御する必要があるんだ。
🧑‍🎓
なるほど…。でも「軌跡の長さ」を長くすると、画面が軌跡だらけで見づらくなります。あの軌跡は、コンピュータはどうやって計算してるんですか?
🎓
あの軌跡は、リープフロッグ法という数値積分法で刻一刻と位置を計算してつないでいるんだ。速度と位置を半歩ずつずらして計算するから、エネルギーがだいたい保存されて長い計算でも安定するんだよ。でも、これが「N体問題」のシミュレーションの基本。例えば銀河の形成シミュレーションでは、Barnes–Hut法という工夫で数十億個の星の動きを計算するんだ。まずはこのツールで、3体のカオスを体感してみよう!

物理モデルと主要な数式

各天体に働く重力は、他の2つの天体からの引力のベクトル和です。これが運動方程式の右辺になります。

$$\ddot{\mathbf{r}}_i = G \sum_{j \neq i} \frac{m_j (\mathbf{r}_j - \mathbf{r}_i)}{|\mathbf{r}_j - \mathbf{r}_i|^3}$$

$\mathbf{r}_i$: 天体$i$の位置ベクトル, $\ddot{\mathbf{r}}_i$: その加速度, $m_j$: 天体$j$の質量, $G$: 万有引力定数。分母の3乗は、距離の2乗に反比例する力の法則と、方向を表す単位ベクトル$(\mathbf{r}_j - \mathbf{r}_i)/|\mathbf{r}_j - \mathbf{r}_i|$ を掛けた結果です。

この系には、運動エネルギーと位置エネルギー(重力ポテンシャル)の和である全エネルギーが保存します(数値誤差を除く)。この保存量は、シミュレーションの精度をチェックする指標にもなります。

$$E = \frac{1}{2}\sum_i m_i |\dot{\mathbf{r}}_i|^2 - G\sum_{i < j}\frac{m_i m_j}{|\mathbf{r}_i - \mathbf{r}_j|}$$

右辺第1項は全運動エネルギー、第2項は重力による位置エネルギー(ポテンシャルエネルギー)の総和です。マイナス符号がつくので、位置エネルギーは常に負の値となり、天体が離れるほどゼロに近づきます。

実世界での応用

天体力学・太陽系安定性解析:太陽系は多体問題の塊です。長期的に地球の軌道は安定なのか? 冥王星以遠の小天体の動きは? 三体問題の理解は、こうした大規模なN体シミュレーションの基礎となります。

宇宙機軌道設計(ラグランジュ点利用):地球と月の重力が釣り合うラグランジュ点は、宇宙望遠鏡を置くのに好都合です。これは制限三体問題の特殊解。ただし、実際は太陽の摂動などがあり、カオス的な影響を受けるため、定期的な軌道修正が必要です。

連星系・系外惑星系のダイナミクス研究:2つの恒星の周りを回る惑星(周連星惑星)は、まさに三体問題です。その軌道が長期にわたって安定に存在できる条件は何か? 生命居住可能領域はどこか? を探る上で核心的な課題です。

数値計算アルゴリズム開発:三体問題の高速かつ高精度なシミュレーション手法は、銀河の形成や星団の進化を扱う「重力多体問題」の計算手法(ツリー法、高速多重極法など)の開発の礎となっています。