構造力学の基礎 — 応力・ひずみ・FEM・非線形解析まで完全解説
応力とひずみ — 構造解析の2大主役
構造解析のすべての議論は「物体の中でどれだけ力が伝わっているか(応力)」と「物体がどれだけ変形しているか(ひずみ)」の2つに集約されます。この2つを理解せずにFEMソフトを操作しても、出てきた数字の意味を正しく読み取れません。
先生、FEMの結果画面で「von Mises応力」とか「相当塑性ひずみ」とかよく出てくるんですけど、そもそも応力ってなんですか? 力と何が違うんでしょう?
ざっくり言うと、応力は「単位面積あたりの力」だ。同じ100kNの荷重でも、断面積が1cm²の細い棒にかけるのと、100cm²の太い棒にかけるのでは、材料の「苦しさ」がまったく違う。その「苦しさ」を面積で正規化したのが応力だよ。だから単位はN/m²=Pa(パスカル)。実務ではMPa(メガパスカル)が多い。
なるほど! じゃあ力を面積で割るだけなんですか? von Misesが難しそうで...
面をどの向きに切るかで応力は変わるんだ。それが「応力テンソル」という考え方で、9つの成分がある。von Misesはその9成分を1つのスカラー値にまとめたもので「降伏しそうかどうか」を判断する指標だ。順番に説明するよ。
1.1 垂直応力とせん断応力
物体内部の任意の面を切ったとき、その面に垂直に作用する応力を垂直応力(normal stress)、面に平行に作用する応力をせん断応力(shear stress)といいます。
3次元物体の任意の点における応力状態は、応力テンソルと呼ばれる $3\times3$ の対称行列で表されます:
せん断応力には相互等価の法則が成立し($\tau_{xy} = \tau_{yx}$, $\tau_{yz} = \tau_{zy}$, $\tau_{xz} = \tau_{zx}$)、独立成分は6つです。
1.2 ひずみの定義 — 工学ひずみと真ひずみ
ひずみは変形量を元の長さで正規化した無次元量です。1次元の場合:
しかし大変形では、「元の長さ」が絶えず変化するため、瞬間の長さ $l$ で積分した真ひずみ(対数ひずみ)を使います:
工学ひずみと真ひずみって、どんなときに使い分けるんですか? 普通の解析は工学ひずみでいいですか?
ひずみが5%以下なら工学ひずみで十分だよ。自動車のボディパネルの衝突解析とか、プレス成形みたいに50%以上変形するケースでは真ひずみが必要だ。Abaqusなどのソルバーでは大変形オプションをONにすると自動的に対数ひずみで計算する。
1.3 単位系の罠
FEMで最も多い初歩ミスが単位系の不統一です。代表的な2つの系を比較します:
| 量 | SI系(m-N-Pa) | 実務系(mm-N-MPa) |
|---|---|---|
| 長さ | m | mm |
| 力 | N | N |
| 応力/圧力 | Pa = N/m² | MPa = N/mm² |
| ヤング率 | 210 × 10⁹ Pa(鋼) | 210,000 MPa(鋼) |
| 密度 | 7,850 kg/m³(鋼) | 7.85 × 10⁻⁹ t/mm³(鋼) |
| 時間(動解析) | s | s(密度に注意) |
注意: mm-N-MPa 系で密度を kg/mm³ と間違えると、固有振動数が 1/1000 になります。動解析では特に注意が必要です。
フックの法則と弾性定数
フックの法則って F=kx ですよね。でもCAEのテキストには行列式が出てきて... 何が違うんですか?
F=kx はばねの1次元版だね。実際の3次元物体では「x方向に引っ張ると、y方向も縮む(ポアソン効果)」とか「せん断応力はせん断ひずみだけに影響する」みたいな複雑な関係がある。それを全部まとめると6×6の行列になるんだ。
2.1 1次元フックの法則
$E$ はヤング率(縦弾性係数)で、材料の「硬さ」を表します。
2.2 3次元弾性構成則(一般化フックの法則)
等方弾性体では、独立な弾性定数は $E$(ヤング率)と $\nu$(ポアソン比)の2つだけです。せん断弾性係数 $G$ は:
体積弾性係数 $K$ は:
3次元の応力-ひずみ関係(Dマトリクス形式)は:
この $6\times6$ 行列が弾性マトリクス(Dマトリクス)で、FEMの剛性マトリクス計算の核心です。
2.3 主要材料の弾性定数
| 材料 | ヤング率 E [GPa] | ポアソン比 ν | 密度 [kg/m³] | 降伏応力 [MPa] |
|---|---|---|---|---|
| 炭素鋼(SS400) | 206 | 0.30 | 7,850 | 245 |
| ステンレス鋼(SUS304) | 193 | 0.29 | 7,930 | 205 |
| アルミ合金(A6061) | 68.9 | 0.33 | 2,700 | 276 |
| チタン合金(Ti-6Al-4V) | 114 | 0.34 | 4,430 | 880 |
| CFRP(0°方向) | 130–180 | 0.30 | 1,600 | —(破壊強度依存) |
| コンクリート(C30) | 30 | 0.20 | 2,400 | —(圧縮強度で議論) |
| 天然ゴム | 0.001–0.01 | ≈0.50 | 1,200 | —(非線形) |
ゴムのポアソン比が0.5って、何か特別な意味があるんですか?
ポアソン比 $\nu = 0.5$ は「体積不変」を意味するんだ。ゴムは引っ張っても体積がほぼ変わらない — 細くなった分だけ伸びる — という性質がある。逆に $\nu = 0.5$ をそのままFEMに入力すると体積弾性係数 $K = E/(3(1-2\nu))$ が分母ゼロになって発散してしまう。実務では $\nu = 0.499$ に設定するか、非圧縮性を専用定式化(ペナルティ法)で扱うよ。
多軸応力状態と降伏条件
実際の部品には複数方向の応力が同時に作用します。「材料がいつ降伏するか」を判定するには、6成分の応力をまとめた降伏条件(yield criterion)が必要です。
3.1 主応力の導出
応力テンソルの固有値問題を解くと、主応力 $\sigma_1 \geq \sigma_2 \geq \sigma_3$(せん断応力ゼロの特別な方向の垂直応力)が求まります:
これを展開すると特性方程式(3次方程式)になり、3つの実固有値が主応力です。
3.2 von Mises 降伏条件
金属の延性材料に広く使われる降伏条件です。物理的意味は「せん断ひずみエネルギーが臨界値に達したとき降伏する」:
テンソル成分で書くと:
3.3 Tresca 降伏条件
「最大せん断応力が材料固有の値を超えたとき降伏する」というシンプルな条件:
| 比較項目 | von Mises | Tresca |
|---|---|---|
| 物理的根拠 | せん断ひずみエネルギー説 | 最大せん断応力説 |
| 実験との適合性 | より精度が高い(延性金属) | やや保守的(安全側) |
| 計算の複雑さ | やや複雑(2乗和) | シンプル |
| 降伏面の形状 | 円筒(π平面上で円) | 正六角柱(π平面上で正六角形) |
| 主な適用 | 構造鋼・アルミ・一般金属 | 設計規格(ASME圧力容器等) |
FEMの結果でよく「von Mises ≧ 降伏応力のところが赤くなってる」のを見ますけど、赤くなったら即アウトなんですか?
線形弾性解析では「von Misesが降伏応力を超えた領域はもう解析が信用できない」という意味だ。降伏すると材料の挙動が変わる(弾塑性)のに、線形の計算を続けているから。だから、赤い領域が局所的な応力集中点なら設計変更の指針になる。でも赤い領域が広がってたら、弾塑性解析をやり直すべきサインだよ。実務では最初に線形解析で全体傾向を掴んで、問題箇所を非線形解析で詳細に調べる流れが多い。
3.4 モールの応力円
平面応力状態($\sigma_{zz}=\tau_{yz}=\tau_{zx}=0$)において、面の方向を $\theta$ 回転させたときの垂直応力・せん断応力を幾何学的に表すのがモールの応力円です:
円の中心 $C = \left(\frac{\sigma_{xx}+\sigma_{yy}}{2}, 0\right)$、半径 $R = \sqrt{\left(\frac{\sigma_{xx}-\sigma_{yy}}{2}\right)^2 + \tau_{xy}^2}$。
インタラクティブなモールの応力円は モールの応力円ツール で体験できます。
梁理論の深掘り
梁のたわみって材料力学で習ったんですが、「オイラー・ベルヌーイ梁」と「ティモシェンコ梁」って何が違うんですか?
一番の違いは「せん断変形を考えるかどうか」だ。オイラー・ベルヌーイ梁は「変形後も梁軸直交断面は直交したまま(平断面仮定)」と仮定してせん断変形を無視する。スレンダー(細長い)梁なら誤差はほぼない。でも背の高いリブや短いブラケットみたいな短い梁では、せん断変形が支配的になって、オイラー・ベルヌーイ梁では大幅にたわみを過小評価してしまう。
4.1 オイラー・ベルヌーイ梁
曲率と曲げモーメントの関係:
荷重と分布外力の関係:
代表的なたわみ公式:
| 荷重条件 | 最大たわみ | 発生位置 |
|---|---|---|
| 片持ち梁・先端集中荷重 P | $\delta_\text{max} = \dfrac{PL^3}{3EI}$ | 自由端 |
| 片持ち梁・全面等分布荷重 q | $\delta_\text{max} = \dfrac{qL^4}{8EI}$ | 自由端 |
| 両端単純支持・中央集中荷重 P | $\delta_\text{max} = \dfrac{PL^3}{48EI}$ | スパン中央 |
| 両端単純支持・全面等分布荷重 q | $\delta_\text{max} = \dfrac{5qL^4}{384EI}$ | スパン中央 |
| 両端固定・中央集中荷重 P | $\delta_\text{max} = \dfrac{PL^3}{192EI}$ | スパン中央 |
4.2 ティモシェンコ梁
せん断変形を考慮した高精度な梁理論です。回転角 $\psi$ と断面の傾き $dw/dx$ が一致しないとする:
$\kappa$ はせん断補正係数(矩形断面: $\kappa = 5/6$)、$Q$ はせん断力。片持ち梁の先端たわみはせん断変形の追加項が入ります:
せん断変形の影響を比較した指標としてアスペクト比 $L/h$(スパン長さ/断面高さ)が使われます:
| L/h 比 | せん断変形の影響 | 推奨する梁理論 |
|---|---|---|
| > 20 | 1%未満 — 無視できる | オイラー・ベルヌーイ梁で十分 |
| 10–20 | 1–5%程度 | どちらでも可(用途による) |
| 5–10 | 5–15%程度 | ティモシェンコ梁を推奨 |
| < 5 | 15%以上 — 無視不可 | ティモシェンコ梁 or ソリッド要素 |
FEMの梁要素って、どちらの理論を使っているんですか? ソルバーによって違うんですか?
ほとんどの商用ソルバー(Abaqus, Ansys, Nastranなど)はティモシェンコ梁要素をデフォルトにしている。ただし要素タイプの選択は大事で、AnsysならBEAM188/189(ティモシェンコ)、AbaqusならB31(線形ティモシェンコ)やB32(2次ティモシェンコ)があるよ。旧来のオイラー・ベルヌーイ系要素(AbaqusのB23など)は細長い梁では速く計算できるけど、太短い梁では剪断ロッキングに注意が必要だ。
有限要素法(FEM)の数学的基礎
FEMは「複雑な境界形状を持つPDEを数値的に解くための汎用フレームワーク」です。その数学的基礎を丁寧に追います。
5.1 仮想仕事の原理と弱形式
FEMって「連立方程式を解く」って聞くんですけど、その方程式はどこから来るんですか? 強形式・弱形式って何のことですか?
強形式は「方程式がすべての点で成立している」ことを要求する。弱形式は「全体としてエネルギーが釣り合っていれば、各点では少々不連続でもよい」という緩い要求に換えたもの。弱形式にすることで形状関数の微分可能性の要件が下がり、多項式で近似しやすくなる。仮想仕事の原理がその橋渡しだよ。
支配方程式(強形式):
仮想仕事の原理:任意の仮想変位 $\delta\mathbf{u}$ に対して:
5.2 形状関数とアイソパラメトリック変換
要素内の変位場を節点変位 $\mathbf{d}$ と形状関数 $\mathbf{N}$ で近似:
線形四面体要素(4節点)の形状関数(体積座標):
4辺形要素(アイソパラメトリック要素、参照座標 $\xi, \eta \in [-1,1]$):
物理座標と参照座標の変換(ヤコビアン):
5.3 要素剛性マトリクスの組立て
ひずみ-変位マトリクス $\mathbf{B} = \mathbf{L} \mathbf{N}$($\mathbf{L}$は微分演算子)を用いると、要素剛性マトリクスは:
これをガウス積分で数値的に評価します(積分点 $n_g$ 個):
| 要素次数 | 推奨ガウス点数(1D) | 完全積分 | 低減積分 |
|---|---|---|---|
| 線形要素(1次) | 2点 | 全剛性正確 | 1点(砂時計モードに注意) |
| 2次要素(2次) | 3点 | 全剛性正確 | 2点(体積ロッキング防止) |
| 3次要素(3次) | 4点 | 全剛性正確 | — |
5.4 大域剛性マトリクスと境界条件
全要素剛性マトリクスをアセンブリして大域方程式:
ディリクレ境界条件(規定変位)の処理方法:
- 消去法(直接代入法):規定変位の自由度を消去して方程式次元を減らす。精度が良いが実装が煩雑。
- ペナルティ法:剛性行列の対角成分に大きな値 $\alpha \gg K$ を加算。実装が簡単だが $\alpha$ の選択が難しい。
- ラグランジュ乗数法:制約条件を厳密に満足。拡大方程式系を解く。
要素の種類って色々ありますよね。実務でどの要素を選べばいいかって、どうやって判断するんですか?
まず形状から選ぶ。曲面の多い複雑形状なら2次要素(C3D10, SOLID187など)が収束が速い。プレス成形みたいに大変形・大ひずみの問題では要素が潰れるリスクがあるから1次要素(C3D8R)に低減積分とHourglass controlを組み合わせることが多い。薄板は代わりにシェル要素を使う方がはるかに効率的。要素タイプのミスマッチで精度が10倍以上変わることがあるから、最初にベンチマーク問題で確認するのが実務の鉄則だ。
非線形解析の概要
実際の問題の多くは非線形性を持ちます。CAEでは3種類の非線形性が現れます:
6.1 幾何学的非線形(大変形・大回転)
変形が小さい仮定が成り立たない場合、ひずみ-変位関係が非線形になります。グリーン-ラグランジュひずみテンソル:
第2項・第3項が非線形項です。大変形問題では参照配置(ラグランジュ描像)と現配置(オイラー描像)の区別が重要になります。
6.2 材料非線形(弾塑性)
降伏後の材料挙動:
$\mathbf{D}^\text{ep}$ は弾塑性接線剛性テンソルで、次の2つの硬化則が主流です:
- 等方硬化(isotropic hardening):降伏面が一様に拡大。単調荷重に適する。
- 移動硬化(kinematic hardening):降伏面がバックストレス $\boldsymbol{\alpha}$ 方向にシフト。繰り返し荷重・バウシンガー効果に適する。
6.3 接触非線形
接触問題では「接触するかどうか」自体が変位に依存する非線形性があります。ペナルティ法では接触圧力:
6.4 ニュートン・ラフソン法
非線形方程式 $\mathbf{r}(\mathbf{u}) = \mathbf{f} - \mathbf{K}(\mathbf{u})\mathbf{u} = \mathbf{0}$ の反復解法:
$\mathbf{K}_T$ は接線剛性マトリクスです。収束条件(一般的な基準):
非線形解析をやると「収束しない」ってよく先輩に相談されるんですが、何が原因なことが多いですか?
主な原因は3つだ。① 荷重ステップが大きすぎる — ニュートン法は初期値が解に近いほど速く収束するから、1ステップで大きく動かすと発散する。荷重を細かく分割するのが基本対処。② 接触の不安定 — 接触状態が変わる瞬間にジャンプして発散することがある。ソフトペナルティや接触安定化オプションで対処。③ 材料モデルの不整合 — 降伏条件や硬化則のパラメータが実験データと合っていないと発散する。実務では最初にシンプルな荷重履歴でキャリブレーションを確認するのが定石だね。
動解析の基礎
7.1 運動方程式
FEMで離散化された動解析の基礎方程式:
$\mathbf{M}$:質量マトリクス(consistent または lumped)、$\mathbf{C}$:減衰マトリクス、$\mathbf{K}$:剛性マトリクス。
7.2 固有値問題
自由振動($\mathbf{C}=0$, $\mathbf{f}=0$)の解を $\mathbf{u} = \boldsymbol{\phi} e^{i\omega t}$ とおくと:
固有値 $\omega_i^2$ から固有振動数 $f_i = \omega_i / (2\pi)$ [Hz]、固有ベクトル $\boldsymbol{\phi}_i$ がモード形状(固有モード)。
モードの直交性(質量正規化):
7.3 レイリー減衰
実務でよく使われる比例減衰モデル:
各モードの減衰比:
2つの周波数 $\omega_1, \omega_2$ での減衰比 $\zeta_1, \zeta_2$ を指定すると $\alpha, \beta$ を決定できます:
7.4 Newmark-β 直接積分法
時刻歴応答を時間ステップ $\Delta t$ で逐次積分する方法:
| パラメータ | スキーム名 | 安定性 | 精度次数 | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| β=0, γ=1/2 | 中心差分法 | 条件付き安定 ($\Delta t \leq \Delta t_\text{cr}$) | 2次 | 衝撃・爆発(陽解法) |
| β=1/4, γ=1/2 | 平均加速度法 | 無条件安定 | 2次 | 地震・振動(陰解法) |
| β=1/6, γ=1/2 | 線形加速度法 | 条件付き安定 | 2次 | 一般(やや不安定) |
陽解法と陰解法ってよく聞くんですが、自動車衝突みたいな解析では陽解法を使うって聞きました。なんで?
衝突は接触が複雑で、しかも超高速(100ms以下)の現象だ。陰解法で解こうとすると毎ステップごとに大きな連立方程式を解く必要があって、接触の更新で収束が難しくなる。陽解法は各節点に集中質量を割り当てて「前の時刻の値から直接次を計算」するから1ステップが非常に軽い。ただし安定条件があって $\Delta t$ を要素の最小サイズ÷音速(CFL条件)以下にしないといけない。衝突解析ならAbaqus/ExplicitやLS-DYNAが定番だ。
実務での注意点とよくある失敗
8.1 メッシュ収束と誤差評価
FEM解はメッシュを細かくするほど真解に近づく(一般に)。メッシュ収束を確認せずに結果を信用するのは危険です:
- 粗いメッシュ → 中程度 → 細かい の3段階で解析
- 注目物理量(最大応力など)の変化が5%以下になれば収束とみなす
- リチャードソン外挿法でより精度の高い推定値を得る:
$r$ はメッシュ細化率、$p$ は精度次数(線形要素なら $p=2$)。
8.2 応力特異点(再入コーナー)
再入コーナー(90°以上の内角を持つ角部)では、弾性解が無限大に発散する応力特異点が理論的に存在します。メッシュを細かくするほど応力が上昇し続け、収束しません。
対処法:
- フィレット(R付け)を加えて特異点を解消する
- コーナー周辺の応力は構造的な平均応力で評価し、ピーク値は参考程度にとどめる
- 破壊力学(き裂先端の $K_I$ 評価)として扱う
8.3 よくある失敗チェックリスト
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 変位が10⁶倍おかしい | 単位系不統一(mm vs m) | 全材料定数を確認 |
| 解析が0.001秒で終わる(動解析) | 密度の単位誤り | mm-N-MPa系の密度は t/mm³ = kg/mm³ × 10⁻³ |
| 剛体モードが出る | 拘束不足(支持条件ミス) | 固有値解析で確認(ゼロ固有値の有無) |
| コーナーだけ応力が異常に高い | 応力特異点 | フィレット追加 or 破壊力学評価 |
| 非線形解析が収束しない | 荷重ステップ過大、接触不安定 | 荷重増分を小さく、自動ステップ調整ON |
| 固有振動数が1/1000になる | 密度の桁ミス | 手計算で1自由度系を確認 |
| 圧縮側で引張変形が出る | 材料の向き設定ミス(異方性材料) | 要素座標系を確認 |
関連インタラクティブツール
理論を手を動かして確認しよう
- 梁のたわみ計算ツール — 支点条件・荷重種別を切り替えてたわみ・曲げモーメント図をリアルタイム計算
- モールの応力円ツール — 応力成分を入力すると主応力・最大せん断応力を可視化
- 1自由度系周波数応答ツール — 固有振動数・減衰比から応答倍率カーブを生成
- オイラー座屈荷重ツール — 端末条件4種での座屈荷重・座屈モード形状を可視化
なった
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