ピンフィンアレイの伝熱
理論:細い円柱の群れとしてのピンフィン
概要
ピンフィンのヒートシンクは、板状のフィンと比べて何が良いんですか?
細い円柱は境界層が薄いので、熱伝達率が高い。しかも流れがどの向きから来ても冷やせる。そのかわり、細いピンは熱が根元から先端まで伝わりにくく、先端ほど温度が下がって働きが悪くなる。これをフィン効率で表す。熱伝達率はピンを管群とみなしたZukauskasの式で、フィン効率はフィンの理論で求められる。材料と配列を変えて、どれだけ放熱量が変わるか見てみよう。
Zukauskasの式
Re = 10³〜2×10⁵ では、碁盤配列で C = 0.27・m = 0.63、千鳥配列で C = 0.35(S_T/S_L)^0.2・m = 0.60。C₂ は列数の補正で、10列ではおよそ0.97。
フィン効率
先端からの放熱は、長さを d/4 だけ伸ばした補正長さ $L_c$ で近似する。$mL_c$ が大きいほど効率は下がる。
管群の熱伝達
管群の熱伝達の式は、ボイラーや熱交換器の設計のために20世紀前半から多くの実験で調べられてきた。リトアニアのズカウスカスは1972年に、それまでの実験を幅広いレイノルズ数でまとめ直し、碁盤配列と千鳥配列の両方に使える式を示した。ピンフィンのヒートシンクは、この管群の考え方をそのまま小さくしたものだ。航空機エンジンのタービン翼の内部冷却にも、ピンフィンが使われている。
計算例:10×10本のピンフィン
ピン直径2 mm・高さ15 mm、ピッチは縦横4 mm、ベース40×40 mm。25℃の空気が5 m/sで当たり、ベースは空気より40 K高い。
熱伝達率
| 配列 | 最大速度 | Re_max | Nu | 熱伝達率 |
|---|---|---|---|---|
| 碁盤配列 | 10.0 m/s | 1,274 | 20.9 | 275 W/m²K |
| 千鳥配列 | 10.0 m/s | 1,274 | 21.9 | 288 W/m²K |
材料とフィン効率・放熱量(碁盤配列)
| 材料 | 熱伝導率 | フィン効率 | 放熱量 |
|---|---|---|---|
| 銅 | 390 W/mK | 0.90 | 111 W |
| アルミ | 200 W/mK | 0.83 | 103 W |
| 鋼 | 16 W/mK | 0.35 | 51 W |
| 樹脂 | 1 W/mK | 0.09 | 24 W |
ピンのない平らな40 mm角の板だけなら、熱伝達率44 W/m²Kで放熱量は2.8 W。ピンで面積は6.9倍になり、細い円柱の高い熱伝達率と合わせて、アルミでは放熱量が37倍になった。
同じ形でも、鋼にすると放熱量が半分になるんですね。
ピンの熱伝達率は約280 W/m²Kと高いので、熱はピンの表面からどんどん逃げる。そのぶん、根元から先端へ熱を送る伝導が追いつかないと、先端が冷えて役に立たなくなる。アルミなら先端まで83%の働きをするが、鋼では35%、樹脂では9%しか働かない。樹脂のピンはほとんど根元の近くしか使われていないことになる。だから熱伝達率が高い条件ほど、ピンは太く短く、熱伝導率の高い材料にする必要がある。逆に、自然対流のように熱伝達率が低いなら、熱伝導率の低い材料でも効率はそれほど下がらない。
設計のポイント
- ピンの間を通る最大速度でレイノルズ数を計算する(千鳥配列は斜め方向の隙間も確認)。
- フィン効率を確かめ、0.7を下回るなら太く短く、または材料を変える。
- 流れがピンの上や横をすり抜けるバイパスを考える。ダクトで囲むと効果が上がる。
- 圧力損失を求め、ファンの特性曲線と動作点を合わせる。
- ピン同士が近すぎると後ろのピンが前のピンの陰に入る。
「流れがピンを避けて通った」
あるヒートシンクで、カタログの値ほど冷えないという問題が起きた。調べると、ヒートシンクの上に大きなすき間があり、ファンの風の多くがピンの間ではなく、抵抗の少ない上のすき間を抜けていた。ピンフィンは圧力損失が大きいので、逃げ道があると風はそちらへ流れてしまう。ヒートシンクの上に板を置いてすき間をふさぐと、ピンの間を通る風が増え、温度は大きく下がった。
よくある間違い
間違いと対策
| 間違い | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 接近速度でReを計算 | 熱伝達率を過小評価 | 最大速度を使う |
| フィン効率を1とする | 放熱量を過大評価 | 効率を計算 |
| バイパスを無視 | 実機で冷えない | ダクトで囲う |
| 圧力損失を見ない | 風量が足りない | ファン動作点を求める |
| 列数補正を忘れる | 少ない列で過大評価 | C₂を使う |
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フィン付きヒートシンクツールで試せるよ。関連するページは円柱の直交流、衝突噴流、マイクロチャネル冷却、垂直流路の自然対流が参考になる。
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