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材料力学で「平面応力」と「平面ひずみ」って言葉が出てきたんですけど、似ていてよく分かりません。何が違うんですか?
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どちらも「本当は3次元の問題を、2次元の紙の上で解けるように簡単にする」ための仮定だよ。ポイントは「奥行き方向(面外、z方向)をどう扱うか」。平面応力は『z方向の応力をゼロにする』、平面ひずみは『z方向のひずみをゼロにする』。ざっくり言うと、薄い物には平面応力、分厚い物には平面ひずみを使うんだ。
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薄い板を面内に引っ張ると、奥行きが薄いから z方向は自由にスッと縮める。だから z方向の応力はほぼゼロ=平面応力。逆にダムの断面みたいに奥行きが何メートルもある物だと、注目している断面の左右にも同じ材料がぎっしり続いていて、z方向に伸び縮みしようにも隣の材料に押さえられて動けない。だから z方向のひずみがゼロ=平面ひずみ、というわけだ。
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なるほど。じゃあ右上の「解析モード」を切り替えると、同じ σx・σy を入れても結果が変わるのはそのせいなんですね。
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そう。平面応力では σz=0 だけど、ポアソン効果で板は奥行き方向に勝手に縮む。だから εz は -ν(σx+σy)/E というゼロでない値になる。平面ひずみは逆で、εz=0 に押さえつける代わりに、その反力として面外応力 σz=ν(σx+σy) が出てくる。この σz があるかないかで von Mises 応力まで変わってくるんだ。モードを切り替えて「面外成分」のカードと von Mises の数字を見比べてみて。
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von Mises 応力って、降伏の判定に使うやつですよね。2Dだと式が変わるんですか?
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式の形が変わるよ。平面応力は σz=0 だから √(σx²-σxσy+σy²+3τxy²) というスッキリした式になる。平面ひずみは σz がゼロじゃないから、3軸の一般式 √(0.5((σx-σy)²+(σy-σz)²+(σz-σx)²)+3τxy²) を使う。実務では「この部品は薄いから平面応力でいいや」と決めて2Dモデルで解くんだけど、その判断が間違っていると応力を見誤る。だからまず両方計算して感触をつかむのが大事なんだ。
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FEMの2D解析を始める前に、このツールで手応えを確認しておくといいわけですね。
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その通り。FEMの2D要素は「平面応力要素」と「平面ひずみ要素」が別々に用意されていて、選択を間違えると物理的に違う問題を解いてしまう。このツールで σx・σy・τxy を1点に与えたときのひずみと von Mises をあらかじめ知っておけば、FEM結果が桁違いだったときに「あ、モード選択を間違えたな」とすぐ気づける。下のモール円も、面内の主応力や最大せん断応力を一目で確認できる定番ツールだよ。
平面応力と平面ひずみの違いは何ですか?
どちらも3次元の弾性問題を2次元に簡略化する仮定です。平面応力は面外方向の応力をゼロ(σz=0)と仮定し、薄板のように厚さ方向が自由に変形できる物体に使います。面外ひずみ εz は -ν(σx+σy)/E でゼロではありません。平面ひずみは面外方向のひずみをゼロ(εz=0)と仮定し、ダムや長尺押出材のように厚さ方向の変形が拘束された物体に使います。このとき面外応力 σz=ν(σx+σy) が生じます。同じ面内応力でも、面外の扱いが違うため計算されるひずみと von Mises 応力が変わります。
面内のひずみはフックの法則でどう計算しますか?
平面応力では εx=(σx-νσy)/E、εy=(σy-νσx)/E、γxy=τxy/G で計算します。G はせん断弾性係数で G=E/(2(1+ν)) です。平面ひずみでは面外応力 σz の寄与が加わり、εx=((1-ν²)σx-ν(1+ν)σy)/E、εy=((1-ν²)σy-ν(1+ν)σx)/E となります。せん断ひずみ γxy=τxy/G はどちらのモードでも同じです。本ツールは選んだモードに応じて式を切り替え、3つのひずみ成分と面外成分を同時に表示します。
von Mises応力は2Dでどう求めますか?
von Mises 相当応力は多軸応力状態を1つのスカラー値にまとめ、降伏判定に使う指標です。平面応力(σz=0)では σ_vm=√(σx²-σxσy+σy²+3τxy²) という簡潔な式になります。平面ひずみでは σz=ν(σx+σy) がゼロでないため、一般式 σ_vm=√(0.5((σx-σy)²+(σy-σz)²+(σz-σx)²)+3τxy²) を使います。同じ面内応力でも平面ひずみのほうが σz の分だけ von Mises 応力が変わるため、降伏の起きやすさも変わります。
FEM解析で平面応力と平面ひずみはどう選びますか?
物体の厚さ(奥行き)と面内寸法の比で判断します。厚さが面内寸法より十分小さく、面外方向に自由に伸び縮みできるなら平面応力です。歯車の歯、薄い板金部品、面内荷重を受けるパネルなどが該当します。逆に厚さが十分大きく、面外方向の変形が周囲に拘束されているなら平面ひずみです。ダムの断面、トンネル、長い押出材やパイプの中央断面が代表例です。中間的な厚さでは両方を計算して結果を比較し、安全側を採るのが実務的です。
薄板・板金部品の設計(平面応力): 面内荷重を受ける薄い金属板、ブラケット、歯車の歯の輪郭、リンク機構のプレートなどは平面応力で扱われます。板厚が面内寸法に比べて十分小さく、奥行き方向の応力を無視できるためです。穴あき板の応力集中、切欠き周りの応力分布など、機械設計でもっとも頻出するのがこの領域で、FEMでも平面応力要素を使うのが定石です。
土木・地盤構造物(平面ひずみ): コンクリートダムの断面、トンネルの周囲地盤、擁壁、長い盛土など、奥行き方向に同じ断面が長く続く構造物は平面ひずみで解析します。注目する断面の前後にも同じ材料がぎっしり続いているため、面外方向の変形が拘束されるからです。このとき発生する面外応力 σz を見落とすと、応力状態を過小評価してしまいます。
長尺の機械部品(平面ひずみ): 長いパイプの中央断面、押出形材、回転軸の中央部、厚肉円筒の断面なども平面ひずみの典型例です。端部の影響が及ばない中央付近では、断面が長手方向に一様に変形するため εz≈0 が成り立ちます。厚肉圧力容器の応力解析でも、中央断面はまず平面ひずみで近似するのが出発点になります。
CAEモデリングのモード選択チェック: FEMで2Dモデルを組むとき、最初に決めるのが「平面応力要素か平面ひずみ要素か」です。本ツールのように1点の応力状態に対して両モードのひずみと von Mises を即座に比較できると、モデル化の妥当性を直感的に確認できます。詳細解析の前に手計算レベルで当たりをつけ、FEM結果が想定と桁違いなら要素タイプの選択ミスを疑うサニティチェックにも使えます。
まず最大の誤解が、「平面応力なら面外のひずみもゼロ、平面ひずみなら面外の応力もゼロ」だと思い込む ことです。実際は逆で、平面応力では σz=0 ですが面外ひずみ εz=-ν(σx+σy)/E はゼロではありません(板は奥行き方向に縮む)。平面ひずみでは εz=0 ですが面外応力 σz=ν(σx+σy) はゼロではありません(拘束の反力が出る)。「応力」と「ひずみ」のどちらをゼロにするモードなのかを取り違えると、計算結果の意味を完全に読み違えます。本ツールの「面外成分」カードは、選んだモードに応じて εz か σz のどちらが意味を持つかを切り替えて表示します。
次に、「面内応力が同じなら von Mises 応力も同じ」だと考えてしまう こと。平面応力と平面ひずみで σx・σy・τxy がまったく同じでも、von Mises 応力は一致しません。平面ひずみでは σz=ν(σx+σy) という第3の応力成分が加わるため、3軸の一般式で計算され、平面応力の値とずれます。特に σx と σy が同符号で大きいとき、σz も大きくなり差が顕著になります。降伏判定をするなら、必ず正しいモードの von Mises を使ってください。
最後に、線形弾性そのものの適用限界を忘れないこと 。このツールはフックの法則に基づく線形弾性のみを扱います。応力が材料の降伏応力(鋼で約200〜400MPa)を超えると材料は塑性変形し、応力とひずみはもう比例しません。von Mises 応力が降伏応力を超えた領域では、ここで計算されるひずみは実際より小さく出ます。また、ひずみが数パーセントを超える大変形や、座屈・接触を伴う問題も線形弾性の枠外です。線形弾性は「小さな変形・降伏前」という前提でのみ正しい、という点を常に意識してください。