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地盤工学

土の締固め試験(プロクター)シミュレーター

盛土や路盤を確実に固めるための土の締固め試験を扱うツールです。締固めモールド1点の測定値(湿潤質量・容積・含水比・比重)を入力すると、乾燥密度やゼロ空気間隙密度、間隙比・飽和度・空気間隙率がリアルタイムで分かり、プロクター締固め曲線と最適含水比の意味を直感的につかめます。

パラメータ設定
締固めた湿潤土の質量
g
モールドに締め固めた土の質量(湿潤状態)
モールドの容積
cm³
締固めモールドの内容積(標準は約1000 cm³)
含水比 w
%
土の乾燥質量に対する水の質量の比
土粒子の比重 Gs
土粒子の密度を水の密度で割った無次元量
計算結果
湿潤密度 (g/cm³)
乾燥密度 (g/cm³)
ゼロ空気間隙密度 (g/cm³)
間隙比 e
飽和度 S (%)
空気間隙率 (%)
締固め曲線・相図 — アニメーション

山形の締固め曲線、上方のゼロ空気間隙線、最大乾燥密度と最適含水比のピーク、現在の含水比マーカーを表示します。下の相図は土・水・空気の体積割合を示します。

締固め曲線とゼロ空気間隙線
飽和度 vs 含水比
理論・主要公式

$$\rho_d=\frac{\rho_{bulk}}{1+w},\qquad \rho_{zav}=\frac{G_s\,\rho_w}{1+G_s\,w}$$

乾燥密度 ρ_d とゼロ空気間隙密度 ρ_zav。ρ_bulk:湿潤密度、w:含水比(小数)、G_s:土粒子の比重、ρ_w:水の密度(1.0 g/cm³)。乾燥密度はゼロ空気間隙線に近づくことはできても決して交差せず、その締固め曲線のピークが最適含水比を定める。

$$e=\frac{G_s\,\rho_w}{\rho_d}-1,\qquad S=\frac{G_s\,w}{e}$$

間隙比 e(間隙の体積を土粒子の体積で割った値)と飽和度 S(間隙のうち水で満たされた割合)。

$$A_v=\frac{e\,(1-S)}{1+e}\times 100\ [\%]$$

空気間隙率 A_v(全体積に占める空気の体積割合)。S は小数で代入する。

締固め試験とは

🙋
「土の締固め試験」って、土をギュッと固めるだけの試験ですよね?なんでわざわざ試験室でやるんですか?現場でローラーで踏み固めればいいような気が…。
🎓
いい質問だね。締固めって、土の中の空気を機械的に押し出して、粒子どうしを近づける作業なんだ。よく締まった盛土は、緩い盛土よりも強くて硬くて、水を通しにくく、あとから沈下しにくい。土工事で一番大事な作業のひとつだよ。ただ「どこまで締まれば合格か」を現場で決めるには、その土の「目標値」が要る。それを試験室で前もって出すのがプロクター締固め試験なんだ。1930年代にラルフ・プロクターが確立した、締固め管理の基準試験だよ。
🙋
なるほど。でも、土を固めるのに「水の量」が関係あるんですか?乾いてた方が固くなりそうですけど。
🎓
ここが締固め試験の一番おもしろいところなんだ。一定の締固めエネルギーで、含水比だけを少しずつ変えて固めて、乾燥密度を測ってグラフにする。すると直線じゃなくて、はっきりした「山形」になる。水が少ないと土が硬くて粒子が動きにくく密度が低い。水を足すと水が潤滑剤になって粒子が滑り込み、密度が上がる。でもある点を超えると、今度は水が土粒子の入るべき隙間を占めてしまって、乾燥密度は下がる。だから山になるんだ。左の含水比スライダーを動かして、上のグラフの山を確かめてみて。
🙋
山の頂上、ちょうど一番密度が高くなる点があるんですね。これが大事ってことですか?
🎓
そう、その頂点が2つの設計値を決める。ひとつが「最大乾燥密度」、もうひとつがそれを達成する「最適含水比」だ。現場の締固めは「実験室の最大乾燥密度の○○%以上を出すこと」という形で発注図書に書かれる。たとえば道路の路体なら90%、路床や重要構造物の基礎なら95%以上、というふうにね。だから最大乾燥密度と最適含水比は、盛土の品質管理のいわば「合格ライン」そのものなんだ。
🙋
グラフの右上に、もう1本の曲線がありますよね。あの斜めの線は何ですか?
🎓
それが「ゼロ空気間隙線」、別名・飽和線だよ。土の中の空気がまったくゼロ、つまり完全に飽和したと仮定したときの理論上の乾燥密度を描いた線なんだ。締固め曲線はこの線に近づくことはできても、絶対に交差できない。どんなに頑張っても空気を完全には追い出せないからね。締固め曲線とゼロ空気間隙線の隙間が、土の中に残っている空気の量を表している。試験データを描いたとき、もし曲線がゼロ空気間隙線を突き抜けていたら、それは含水比か比重の測定ミスのサインなんだ。
🙋
最適含水比ぴったりで締め固めれば、いつでも一番いいんですか?
🎓
それが、目的によって変わるんだ。最大の強度・剛性が欲しい構造物基礎なら、最適含水比よりやや乾いた「ドライサイド」が有利。逆に、ダムのコア材みたいに透水性を低くしたい、湿っても膨らんだり崩れたりしてほしくない、という場合は「ウェットサイド」が定石。同じ乾燥密度でも、ドライサイドとウェットサイドでは土の微細構造が違って、強度や透水性、収縮の性質が変わるんだよ。だから締固め試験は「最大値を出して終わり」じゃなく、曲線全体を読むことが大事なんだ。

よくある質問

プロクター締固め試験は、ある一定の締固めエネルギーのもとで、土の乾燥密度が含水比に対してどう変化するかを測る試験です。所定の重さのランマーを所定の落下高さ・回数・層数で落とし、含水比を少しずつ変えた数点について乾燥密度を求めて、含水比と乾燥密度の関係を1本の曲線に描きます。この曲線は山形になり、その頂点が最大乾燥密度と最適含水比を与えます。本ツールは締固めモールド1点の測定値から、乾燥密度をはじめとする各種の密度・相関量を計算します。
まず締固めた湿潤土の質量をモールド容積で割って湿潤密度 ρ_bulk を求めます。乾燥密度はそこから含水分を取り除いた密度で、ρ_d = ρ_bulk /(1 + w) で計算します(w は小数表記の含水比)。例えば湿潤密度が1.850 g/cm³、含水比が14%なら、ρ_d = 1.850/1.14 ≈ 1.623 g/cm³ です。締固めの良し悪しは湿潤密度ではなく必ず乾燥密度で評価します。湿潤密度は水の分だけ重くなり、土そのものの詰まり具合を表さないためです。
ゼロ空気間隙線(飽和線)は、土の中の空気がまったくない(飽和度100%)と仮定したときの理論上の乾燥密度を、含水比に対して描いた曲線です。式は ρ_zav = G_s·ρ_w /(1 + G_s·w) で、G_s は土粒子の比重、ρ_w は水の密度です。これはその含水比における乾燥密度の理論上限であり、現実の締固め曲線はこの線に近づくことはできても決して交差できません。締固め曲線がゼロ空気間隙線にどれだけ近いかが、土の中に残った空気量の目安になります。
目的によって変わります。最大の強度・剛性が欲しい構造物の基礎では、最適含水比よりやや乾いた側(ドライサイド)で締め固めると高い強度が得られます。一方、コア材などで低い透水性や、湿潤による膨張・崩壊を避けたい場合は、最適含水比よりやや湿った側(ウェットサイド)で締め固めるのが定石です。同じ乾燥密度でも、ドライサイドとウェットサイドでは土の構造(団粒構造か分散構造か)が異なり、強度・透水性・収縮特性が変わります。現場ではふつう最適含水比の±2〜3%の範囲を管理目標にします。

実世界での応用

道路・鉄道の盛土と路盤:道路や鉄道の盛土は、層ごとに敷きならしてローラーで締め固めて造ります。発注図書には「実験室のプロクター最大乾燥密度の○○%以上」という締固め度が指定され、路体で約90%、路床や上部の重要層で約95%以上が一般的な目標値です。現場では砂置換法やRI(ラジオアイソトープ)法で密度を測り、本ツールと同じ計算でその場の乾燥密度を求めて、室内試験の最大乾燥密度と比べて合否を判定します。

フィルダムのコアと堤体:土を主材料とするフィルダムでは、遮水を担うコア(しん壁)の締固めが最重要です。コアは透水性を低く保ち、貯水時の水圧や地震時の変形に耐える必要があるため、最適含水比よりやや湿った側で念入りに締め固めます。締固め曲線とゼロ空気間隙線の関係から、目標の飽和度・空気間隙率に収まっているかを管理します。河川堤防の盛土でも同じ考え方が使われます。

宅地造成・構造物の埋戻し:宅地の造成盛土や、擁壁・暗渠の裏込め、基礎まわりの埋戻しでも締固め管理は欠かせません。締固めが不十分だと、建物の不同沈下や舗装のひび割れ、地中構造物まわりの陥没につながります。狭い場所ではタンパやランマーで層厚を薄く取り、含水比を最適値付近に調整しながら所定の締固め度を確保します。

盛土の品質トラブル解析:「盛土の一部が沈下した」「降雨後に法面が崩れた」といった不具合では、締固め不足や、ウェットサイドで締めすぎたことが原因のことが多くあります。コア採取して含水比と密度を測り、本ツールの計算で当時の飽和度・空気間隙率を逆算すれば、施工時に最適含水比からどれだけ外れていたかを推定できます。これが補修方針や再施工範囲の判断材料になります。

よくある誤解と注意点

まず最大の誤解が、「湿潤密度が大きい=よく締まっている」というものです。締固めの良し悪しは必ず乾燥密度で評価します。湿潤密度は土粒子と水を合わせた密度なので、含水比が高いほど水の分だけ重く出ます。含水比のまったく違う2点を湿潤密度どうしで比べても、どちらが締まっているかは分かりません。本ツールも乾燥密度 ρ_d = ρ_bulk/(1+w) を計算しているのはこのためです。現場で密度を測ったら、必ず含水比も同時に測って乾燥密度に換算してください。

次に、「最大乾燥密度と最適含水比は土に固有の定数だ」という思い込みです。これらは「ある締固めエネルギーのもとでの」値であって、エネルギーが変われば値も動きます。締固めエネルギーを上げると、最大乾燥密度は大きくなり、最適含水比は小さく(乾いた側へ)移動します。標準プロクターと修正プロクターで規定エネルギーが約4.5倍違うのはこのためで、両者の締固め曲線は別物です。現場の締固め機械が室内試験より大きなエネルギーを与えるなら、現場の方が高い密度に達することもあります。室内試験のどの規格・エネルギーで出した値かを必ず確認してください。

最後に、「締固め曲線がゼロ空気間隙線を超えてもグラフの誤差だろう」と見過ごすことです。ゼロ空気間隙線は飽和度100%という物理的な上限であり、現実の土がこれを超えることは原理的にあり得ません。プロットした点が線を突き抜けたら、それはグラフの誤差ではなく、含水比の測定ミス、土粒子の比重 Gs の取り違え、あるいはモールド容積の誤りを示す明確な警告サインです。本ツールでも、入力した条件によっては飽和度が100%を超える非現実的な値になることがあります。その場合は質量・容積・比重・含水比の入力値を見直してください。

使い方ガイド

  1. 試料の湿潤質量(g)をモールド充填直後に計測し、wetMassNumに入力します
  2. モールドの内容積(cm³)を確認入力。標準プロクター試験では944cm³、改良型は2124cm³です
  3. 含水比(%)を土粒子乾燥質量に対する水の質量百分率として算出し入力します
  4. 土粒子の比重(通常2.65~2.75)をspecificGravityNumに設定し、シミュレーターが乾燥密度・ゼロ空気間隙密度を自動計算します

具体的な計算例

湿潤質量2050g、モール容積944cm³、含水比12%、土粒子比重2.68の場合:湿潤密度=2.17g/cm³、乾燥密度=1.94g/cm³、ゼロ空気間隙密度=2.38g/cm³と算出されます。路盤材料では乾燥密度が1.90g/cm³以上で良好な締固めとされるため、この試料は仕様を満たします。

実務での注意点