いい質問だね。木造梁の設計は、ざっくり言うと「3つのチェックを全部パスさせる」作業なんだ。1つ目が曲げ応力——荷重で梁が反るとき、上側が縮んで下側が伸びる、その応力が木の許容値を超えないか。2つ目がせん断応力——梁が支点付近でズレ切れないか。3つ目がたわみ——梁がどれだけ下がるか。左のスライダーで荷重 w を上げてみて。3つの検定比が全部上がっていくのが見えるはずだよ。
そこが木造梁のいちばん面白いところでね。木はヤング率——曲げにくさを表す値——が鋼の20分の1くらいしかない。だから曲げ応力的にはまだ余裕があるのに、梁がぐにゃっと下がりすぎる、ということが起きる。実際、木造梁の設計はたわみで決まることが本当に多いんだ。このツールでデフォルト条件のままスパン L を6mくらいまで伸ばしてみて。曲げ検定比よりたわみ検定比のほうが先に1に近づくのが分かるよ。
圧倒的に「背を高くする」、つまり梁のせい h を大きくするのが効く。たわみは断面二次モーメント I に反比例して、I は h の3乗に比例する。だから h を1.26倍にするだけでたわみはほぼ半分。幅 b は1乗でしか効かないから、同じ木材量なら平たい梁より縦長の梁のほうがずっと有利なんだ。下の「最大たわみと梁せい」のグラフを見ると、h を増やしたときの急なカーブがよく分かるよ。だから天井の梁は横に薄く縦に高い、平たくない形をしているんだ。
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せん断のほうはどういうときに問題になるんですか?あまり聞かない気がして。
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木は繊維に沿った方向のせん断がすごく弱いんだ。スギだと許容せん断応力は0.6MPaしかなくて、曲げの10分の1以下。だから短くて太い梁——スパンが短いのに大きな荷重がかかる梁——では、曲げよりせん断が先に効くことがある。試しにスパン L を1.5mくらいまで短くして荷重 w を上げてみて。せん断検定比が曲げを追い抜くのが見えるはずだ。逆に長いスパンの梁ではせん断はほぼ余裕で、たわみと曲げの勝負になる。
木材はヤング率 E が鋼の約20分の1(スギで約7GPa、鋼で約205GPa)と低いため、同じ荷重でも大きくたわみます。曲げ応力やせん断応力が許容値内に収まっていても、たわみがスパンの300分の1(L/300)といった使用上の制限を超えてしまうことが多く、結果として「たわみ」が梁断面を決める支配ケースになります。本ツールは曲げ・せん断・たわみの3つの検定比を同時に表示し、どれが効いているかが一目で分かります。
断面係数 Z=bh²/6 はせい h の2乗、断面二次モーメント I=bh³/12 は h の3乗に比例します。一方で幅 b には1乗でしか効きません。つまり曲げ応力もたわみも、せい h を大きくするほうが圧倒的に効率的です。たわみは I に反比例するので、h を1.26倍にすればたわみはほぼ半分になります。同じ木材量で梁を強くしたいなら、平たい断面より縦長の断面にするのが原則です。ただしせいを大きくしすぎると横座屈の危険が出るため、別途横補剛の検討が必要です。
最後に、「縦長の梁ほど良い、せいは大きいほど安心」という単純化。確かに曲げもたわみもせい h を大きくするほど有利ですが、幅に対してせいが極端に大きい細長い梁は、荷重を受けたときに横方向へねじれて倒れる「横座屈(横倒れ座屈)」を起こす危険があります。本ツールが扱うのは横座屈が生じない前提の断面強度・たわみであり、実際の細長い梁では母屋・根太・火打ち材などで梁の上端を横方向に拘束(横補剛)する設計が別途必要です。せいを上げたら横補剛もセットで考える、と覚えておきましょう。