Gursonモデル(延性破壊)
Gursonモデル(延性破壊)の理論基礎
Gursonモデルとは
先生、Gursonモデルは延性破壊のモデルですか?
ボイドの体積率 $f$ が降伏面に入っている!
$f$ が増加すると降伏面が収縮→材料が軟化→最終的に$f = f_F$で破壊。ボイドの成長による材料劣化を連続体レベルで表現する。
GTNモデル(修正Gurson)
Tvergaard and Needleman(1984)がGursonを修正したGTN(Gurson-Tvergaard-Needleman)モデルが実用版。$q_1, q_2, q_3$ の補正パラメータを追加。
まとめ
Gursonモデルの博士論文起源
Arthur L. Gursonがボイド成長による延性破壊モデルを初めて発表したのは1975年のブラウン大学博士論文「Plastic Flow and Fracture Behavior of Ductile Materials Incorporating Void Nucleation, Growth, and Coalescence」であった。1977年に学術誌J. Engineering Materials and Technologyに掲載された論文では、球形ボイドを含む多孔質金属の上界定理から降伏関数を解析的に導出した。この厳密な力学的導出がGursonモデルの大きな特徴である。
Gursonモデル(延性破壊)の数値計算手法
GTNのFEM
```
*POROUS METAL PLASTICITY
q1, q2, q3
*POROUS FAILURE CRITERIA
f_N, epsilon_N, s_N, f_0, f_c, f_F
```
LS-DYNA: *MAT_120(GTN)。
まとめ
GTN拡張とTvergaard定数
GursonモデルはTvergaard(1981年)がq₁, q₂, q₃という経験補正係数を導入してGTNモデル(Gurson-Tvergaard-Needleman)に発展した。典型値はq₁=1.5, q₂=1.0, q₃=q₁²=2.25でAluminumやSteelに広く適用される。さらにNeedleman & Tvergaard(1984年)が「臨界ボイド率f*」と破断加速関数を追加し、GTNモデルは急激な延性破壊(ボイドの合体)を表現できる現在標準的な形式になった。
Gursonモデル(延性破壊)の実務適用
GTNの実務
板金成形の破断予測、原子力容器の延性引き裂き、パイプラインの延性破壊に使用。
実務チェックリスト
石油パイプラインの延性破裂解析
GursonモデルはAPI 5L規格に準拠する石油・ガスパイプラインのバーストテスト解析に活用されている。DNV-ST-F101(海底パイプライン規格)では、塑性崩壊と延性破裂の二段階評価にGTNモデルによる仮想実験を補完的に使用することを認めており、実物の水圧バーストテスト(1本数千万円)の実施回数を減らすツールとして位置づけられている。特に高強度鋼X80・X100グレードの破裂評価で有効性が確認されている。
Gursonモデル(延性破壊)のソフトウェア比較
ツール
Abaqus GTNとLS-DYNAのMAT224比較
AbaqusではGTNモデルを「POROUS METAL PLASTICITY」キーワードで定義し、q₁・q₂・f₀・f_N等を直接入力する。LS-DYNAでは同等機能がMAT_GURSON(Material 120)として実装されており、2020年以降はMAT_MODIFIED_GURSON(Material 220)が追加されGTN拡張のフル機能が使える。HyperWorks/OptiStructも2022年からGTN材料をサポートし、トポロジー最適化と延性破壊評価を連成できるユニークな機能を提供している。
Gursonモデル(延性破壊)の先端研究
GTNの先端
温度依存延性破壊と脆性-延性遷移
GTNモデルは本来等温解析向けだが、温度依存に拡張することで脆性-延性遷移温度(DBTT)近傍の挙動を表現できる。原子炉圧力容器鋼SA-508の照射脆化評価では、−50〜100℃域でf₀(初期ボイド率)を温度の関数として与えることで、Charpy衝撃吸収エネルギーのDB TT変化を再現できることが米国NRC(2008年報告書NUREG/CR-6854)で示された。この技術は原子炉圧力容器の40年超運転延長認可審査にも活用されている。
Gursonモデル(延性破壊)のトラブル対応
GTNのトラブル
ボイド合体後のメッシュロックアップ
GTNモデルで臨界ボイド率f_cに達した要素は急激に剛性を失い、周辺要素に過大な変位集中を招いて解析が発散することがある。Abaqusでは「Progressive Damage and Failure」フレームワークを用い、損傷後剛性を線形減少させた後に要素削除(DMGKINI)を行うことで発散を防ぐ。メッシュサイズは必ず「初期ボイド間距離(typical: 50〜200μm)」に対応した物理的長さスケールで設定することが精度確保の基本である。
関連トピック
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