2次元定常熱伝導 — 実務ガイド

カテゴリ: 伝熱解析 | 2026-02-01
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実践のフィールドへ

2Dモデルの活用場面

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3D解析が主流なのに、わざわざ2Dモデルを使う利点は何ですか?


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計算コストが桁違いに小さい。パラメトリックスタディで数十ケース回す場面や、断面方向の温度勾配が支配的な問題では2Dが最適だ。


実務例: PCB基板の熱橋解析

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多層PCBの断面をモデル化する場合、各層(銅箔、プリプレグ、コア)を異なる $k$ を持つ帯として並べる。銅箔率が80%のL1層と20%のL3層では等価熱伝導率が大きく異なる。


厚さ [um]面内k [W/(mK)]面直k [W/(mK)]
L1 (銅80%)353181.1
プリプレグ1000.30.3
L2 (銅50%)351990.55
コア8000.30.3
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面内と面直で2桁以上違うんですね。


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PCB基板は極端な異方性材料だ。2D断面解析で面直方向の温度勾配とビアの効果を評価し、面内方向はスプレッディング抵抗で補正する。これがFloTHERMやIcepakの内部モデリングでも使われる手法だ。


対称性の活用

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対称性を利用すれば計算規模を大幅に削減できる。


  • 1軸対称: 1/2モデル、対称面に断熱条件
  • 2軸対称: 1/4モデル
  • 周期対称: 繰り返し単位を1つだけモデル化

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対称面が断熱条件になる理由は?


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対称面を挟んで温度場が鏡像対称なら、面を横切る温度勾配がゼロ、すなわち熱流束がゼロだからだ。物理的に考えれば当然の帰結だ。

Coffee Break よもやま話

ムーアの法則と冷却の戦い

CPUの集積度は2年で2倍になる(ムーアの法則)。しかし発熱密度もほぼ同じペースで増加。最新のCPUは数百ワットを数cm²の面積で発熱しており、単位面積あたりの発熱密度はホットプレートを超えています。電子機器の熱設計CAEは、まさに「ムーアの法則との終わりなき競争」なのです。

実務者のための直感的理解

この解析分野のイメージ

熱解析は「建物の省エネ診断」のデジタル版。「どこから熱が逃げているか」をサーモカメラで撮影する感覚ですが、まだ建てていない建物でもOK。壁の断熱材を変えたら暖房費がどう変わるか? 窓を二重ガラスにしたら? ——こういう「もしもシナリオ」を試せるのがシミュレーションの強みです。

解析フローのたとえ

熱解析のフローは「お風呂の追い焚き設計」で考えてみましょう。浴槽の形(解析対象)を決め、お湯の初期温度(初期条件)と外気温(境界条件)を設定し、追い焚きの出力(熱源)を調整する。「2時間後にぬるくなっていないか?」を計算で予測する——これが非定常熱解析の本質です。

初心者が陥りやすい落とし穴

「放射を無視していいですか?」——室温付近なら大抵OK。でも数百度を超えたら話は別です。放射による熱伝達は温度の4乗に比例するため、高温では対流を圧倒します。晴れた日に日向と日陰で体感温度が全然違うのを経験したことがありますよね? あれが放射の威力です。工業炉やエンジン周りの解析で放射を無視するのは、猛暑日に「日差しは関係ない」と言い張るようなものです。

境界条件の考え方

熱伝達係数 $h$ は「窓の断熱性能」だと思ってください。$h$ が大きい=窓が薄い=熱がどんどん逃げる。$h$ が小さい=二重窓=熱が逃げにくい。この数値1つで結果が大きく変わるため、文献値の引用や実験による同定が重要です。「とりあえず10 W/(m²·K)で…」と適当に入れていませんか?

熱解析の境界条件設定は経験と試行錯誤の繰り返し。 — Project NovaSolverは、実務者の知見を活かしやすい解析環境の実現を研究しています。

CAEの未来を、実務者と共に考える

Project NovaSolverは、2次元定常熱伝導における実務課題の本質に向き合い、エンジニアリングの現場を支える道具づくりを目指す研究開発プロジェクトです。

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