6節点三角形要素(TRIA6) — 理論と支配方程式
LST要素 — CSTの上位版
6節点三角形要素(TRIA6, LST)はCSTの問題を解決した要素ですか?
そう。LST(Linear Strain Triangle)は要素内でひずみが線形に変化する二次三角形要素だ。CSTの定ひずみの問題を完全に解消している。
形状関数
TRIA6は3つの頂点ノードと3つの辺中点ノードを持つ。形状関数は面積座標 $L_1, L_2, L_3$ の二次多項式:
頂点ノード:
辺中点ノード:
TET10の2次元版ですね。
まさにそう。TRIA6 = TET10の2D版、CST = TET4の2D版。同じ関係だ。
精度
Q8と同じ収束速度ですね。
そう。TRIA6とQ8は同じ次数(二次)の要素だから、収束速度は同じ。ただしQ8のほうが要素あたりの精度はやや高い(8項 vs. 6項の多項式)。
TRIA6 vs. Q8
| 特性 | TRIA6 | Q8 |
|---|---|---|
| 自動メッシュ | 容易 | やや困難 |
| DOFあたりの精度 | Q8の70〜80% | 基準 |
| 曲辺対応 | 辺中点がある | 辺中点がある |
| メッシュ品質への敏感性 | Q8より頑健 | 歪みに敏感 |
| 適応メッシュ | 容易 | やや困難 |
TRIA6は精度効率ではQ8に劣るが、メッシュ生成の容易さで勝る。TET10 vs. HEX20と同じ構図ですね。
完璧な理解だ。2次元でも3次元でも「三角形/四面体は自動メッシュが容易、四辺形/六面体は精度が高い」という構図は共通だ。
数値積分
| 積分 | 点数 | 精度 |
|---|---|---|
| 3点Gauss(完全積分) | 3 | 二次多項式を厳密に積分 |
| 1点Gauss | 1 | 精度不足(使わない) |
| 7点Gauss | 7 | 高次の積分に使用 |
通常は3点で十分ですね。
そう。TRIA6は3点の完全積分が標準。シアロッキングは起きない(二次要素だから)。体積ロッキングも通常は問題ない。非常に安定した要素だ。
まとめ
TRIA6の理論を整理します。
要点:
- 二次三角形要素(LST) — CSTの上位版。ひずみが線形変化
- TET10の2D版 — 自動メッシュの利点を継承
- 収束速度はQ8と同等 — ただしDOF効率はQ8が上
- メッシュ品質に頑健 — 歪んだ形状でもQ8より安定
- 3点Gauss積分で十分 — ロッキングなし
CSTが「使うな」の要素なら、TRIA6は「安心して使える」要素ですね。
その通り。TRIA6は2次元の自動メッシュ解析で最も信頼性の高い三角形要素だ。
タイタニック号と安全率の教訓
「不沈」と謳われたタイタニック号は、低温でのリベット材の脆性破壊が沈没の一因とされています。現代の破壊力学CAEでは、温度依存の材料特性と応力拡大係数を計算して「その温度で本当に大丈夫か?」を事前に検証できます。技術の進歩は、過去の悲劇から学んだ結果です。
各項の物理的意味
- 慣性項(質量項):$\rho \ddot{u}$、つまり「質量×加速度」。急ブレーキで体が前に投げ出された経験はありませんか? あの「持っていかれる感じ」がまさに慣性力です。重い物体ほど動き出しにくく、動き出したら止まりにくい。地震で建物が揺れるのも、地面が急に動いたのに建物の質量が「置いていかれる」から。静解析ではこの項をゼロにしますが、それは「ゆっくり力をかけるから加速度は無視できる」という仮定です。衝撃荷重や振動問題では絶対に省略できません。
- 剛性項(弾性復元力):$Ku$ や $\nabla \cdot \sigma$。ばねを引っ張ると「戻ろうとする力」を感じますよね? あれがフックの法則 $F=kx$ であり、剛性項の本質です。では質問——鉄の棒とゴム紐、同じ力で引っ張るとどちらが伸びるでしょうか? 当然ゴムです。この「伸びにくさ」がヤング率 $E$ であり、剛性を決めます。よくある勘違い:「剛性が高い=強い」ではありません。剛性は「変形しにくさ」、強度は「壊れにくさ」で、別の概念です。
- 外力項(荷重項):体積力 $f_b$(重力など)と表面力 $f_s$(圧力、接触力など)。こう考えてみてください——橋の上のトラックの重さは「中身全体にかかる力」(体積力)、タイヤが路面を押す力は「表面だけにかかる力」(表面力)。風圧、水圧、ボルトの締付力…すべて外力です。ここでありがちな失敗:荷重の方向を間違える。「引張」のつもりが「圧縮」になっていた——笑い話に聞こえますが、3D空間で座標系が回転していると実際に起こります。
- 減衰項:レイリー減衰 $C\dot{u} = (\alpha M + \beta K)\dot{u}$。ギターの弦を弾いてみてください。音は鳴り続けますか? いいえ、徐々に小さくなりますよね。振動エネルギーが空気抵抗や弦の内部摩擦で熱に変わるからです。車のショックアブソーバーも同じ原理——わざと振動エネルギーを吸収して乗り心地を良くしています。もし減衰がゼロだったら? 建物は地震の後いつまでも揺れ続けることになります。実際にはそうならないので、適切な減衰の設定が重要です。
仮定条件と適用限界
次元解析と単位系
| 変数 | SI単位 | 注意点・換算メモ |
|---|---|---|
| 変位 $u$ | m(メートル) | mm入力時は荷重・弾性率もMPa/N系に統一すること |
| 応力 $\sigma$ | Pa(パスカル)= N/m² | MPa = 10⁶ Pa。降伏応力との比較時に単位系の不一致に注意 |
| 歪み $\varepsilon$ | 無次元(m/m) | 工学歪みと対数歪みの区別に注意(大変形時) |
| 弾性率 $E$ | Pa | 鋼: 約210 GPa、アルミ: 約70 GPa。温度依存性に注意 |
| 密度 $\rho$ | kg/m³ | mm系ではtonne/mm³(= 10⁻⁹ tonne/mm³ for 鋼) |
| 力 $F$ | N(ニュートン) | mm系ではN、m系ではNで統一 |
数値例:片持ち梁の先端荷重(L=1m, 断面50×100mm, 鋼材E=210GPa, P=1kN)
最大たわみ δ = PL³/(3EI) = 1000×1000³/(3×210000×4,166,667) ≈ 0.381 mm 最大応力 σ = PL×(h/2)/I ≈ 12.0 MPa(降伏応力235MPaに対して安全率19.6)
メッシュ密度を変えた収束性の確認:
ポイント:要素数を4倍にしても結果は0.5%しか変わらない→8,000要素で十分収束。これが「メッシュ収束性」の確認です。
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CAEの未来を、実務者と共に考える
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