8節点六面体要素(HEX8) — 商用ツール比較と選定ガイド

カテゴリ: 構造解析 | 2026-02-10
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ツールの選び方

HEX8の各ソルバーでの扱い

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各ソルバーのHEX8要素の特徴を教えてください。


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特徴AbaqusNastranAnsysLS-DYNA
推奨要素C3D8I(静解析)CHEXA(8)(内蔵非適合)SOLID185(EAS)ELFORM=1(低減積分)
非適合モードC3D8Iデフォルトで含むKEYOPT(6)=1
ハイブリッドC3D8H, C3D8RHu-P対応
陽解法C3D8RELFORM=1, 2
B-barELFORM=2
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NastranのCHEXA(8)はデフォルトで非適合モードが入っているんですね。


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Nastranの要素技術は長年の改良で洗練されている。CHEXA(8)をそのまま使えばシアロッキングもアワーグラスもほぼ問題にならない。AbaqusやAnsysではユーザーが明示的にオプションを選ぶ必要がある分、知識が求められる。


金属成形での使い分け

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金属成形シミュレーションではどの要素が主流ですか?


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用途要素ソルバー
板成形(プレス)シェル要素LS-DYNA, AutoForm, PAM-STAMP
体積成形(鍛造)HEX8 ELFORM=2LS-DYNA, DEFORM
押し出しHEX8 + リメッシュDEFORM, Simufact
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鍛造ではLS-DYNAのELFORM=2が標準なんですね。


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ELFORM=2はB-bar法(選択的低減積分)で、金属の塑性変形(ほぼ非圧縮)に最適化されている。体積ロッキングもアワーグラスも抑制される。鍛造シミュレーションではほぼ唯一の選択肢だ。


選定ガイド

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まとめると?


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  • 静解析の精密評価 → C3D8I(Abaqus)/ CHEXA(8)(Nastran)/ SOLID185 EAS(Ansys)
  • 陽解法の衝撃・衝突 → C3D8R(Abaqus/Explicit)/ ELFORM=1(LS-DYNA)
  • 鍛造・金属成形 → ELFORM=2(LS-DYNA)/ DEFORM
  • 非圧縮材 → C3D8RH(Abaqus)/ ELFORM=2(LS-DYNA)

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用途によって最適な積分スキームが変わるのがHEX8の面白いところですね。


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HEX8は「設定次第で性格が変わる要素」だ。同じ8節点でも、完全積分・低減積分・非適合モード・B-barで全く異なる挙動を示す。正しい選択ができるかどうかがエンジニアの力量だ。


Coffee Break よもやま話

NASAとNASTRAN — FEMの夜明け

今や世界中で使われている有限要素法ソルバー「NASTRAN」は、1960年代にNASAが開発しました。アポロ計画でロケットの構造解析が必要だったのです。当時のコンピュータはメモリ数KBの時代——今のスマートフォンの100万分の1以下の性能で、人類を月に送る構造計算をしていたのです。

ツール選定の直感的ガイド

ツール選びのたとえ

構造解析ツールの選定は「マイカーの購入」に似ている。コスト(ライセンス費用)、性能(計算速度・精度)、乗り心地(使いやすさ)、アフターサービス(サポート体制)を総合的に判断する。初心者向けの「軽自動車」(学習コストの低いGUI重視ツール)から、プロ向けの「レーシングカー」(スクリプト主体の高性能ツール)まで選択肢がある。

選定で最も重要な3つの問い

  • 「何を解くか」:8節点六面体要素(HEX8)に必要な物理モデル・要素タイプが対応しているか。例えば、流体ではLES対応の有無、構造では接触・大変形の対応能力が差になる。
  • 「誰が使うか」:初心者チームならGUIが充実したツール、経験者ならスクリプト駆動の柔軟なツールが適する。自動車のAT車(GUI)とMT車(スクリプト)の違いに似ている。
  • 「どこまで拡張するか」:将来の解析規模拡大(HPC対応)、他部門への展開、他ツールとの連携を見据えた選択が長期的なコスト削減につながる。

構造解析の収束問題や計算コストに課題を感じていませんか? — Project NovaSolverは、実務者が日々直面するこうした課題の解決を目指す研究開発プロジェクトです。

Project NovaSolver — CAE実務の課題に向き合う研究開発

「8節点六面体要素(HEX8)をもっと効率的に解析できないか?」——私たちは実務者の声に耳を傾け、既存ワークフローの改善を目指す次世代CAEプロジェクトに取り組んでいます。具体的な機能はまだ公開前ですが、開発の進捗をお届けします。

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