フーリエの法則 — ツール実装と比較

カテゴリ: 伝熱解析 | 2026-02-10
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ツールの選び方

商用ツールでの実装

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フーリエの法則に基づく定常熱伝導をやるには、どのソフトがいいですか?


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定常熱伝導はほぼ全ての汎用FEMソルバーで対応している。代表的なツールを比較しよう。


ツール定常熱伝導の特徴要素タイプ
Ansys MechanicalSOLID70(8節点六面体)、SOLID87(10節点四面体)。APDLマクロでパラメトリック解析が容易FEM
AbaqusDC3D8(六面体), DC3D4(四面体)。*HEAT TRANSFER, STEADY STATEステップで定義FEM
COMSOLHeat Transfer in Solidsモジュール。GUI上で方程式をカスタマイズ可能FEM
Ansys Fluent固体領域もFVMで離散化。CHT解析の固体側に自動適用FVM
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Ansys MechanicalとFluent、同じAnsysなのに使い分けるんですね。


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固体のみの熱伝導ならMechanicalが効率的だ。流体との連成があるならFluentやCFXで共役熱伝達(CHT)として解く方がワークフローがシンプルになる。


APDL実装例

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Ansys APDLで平板の定常熱伝導を解く最小コードはこうだ。


```

/PREP7

ET,1,SOLID70

MP,KXX,1,200 ! アルミ k=200 W/(mK)

BLOCK,0,0.1,0,0.05,0,0.01

ESIZE,0.002

VMESH,ALL

/SOL

ANTYPE,STATIC

D,NODE(0,,,),,100 ! 左面 100℃

SF,AREA(0.1,,,),CONV,10,25 ! 右面 h=10, T∞=25℃

SOLVE

```


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思ったよりシンプルですね。Abaqusだとどうなりますか?


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Abaqusではinpファイルに STEP セクションで HEAT TRANSFER, STEADY STATE を指定する。境界条件は BOUNDARY で温度固定、FILM で対流条件を与える。


ツール選定の指針

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選定基準をまとめるとこうなる。


判断基準推奨ツール
固体のみ・構造連成ありAnsys Mechanical, Abaqus
流体連成(CHT)Ansys Fluent, STAR-CCM+
マルチフィジックスCOMSOL
電子機器専用Ansys Icepak, FloTHERM
教育・研究COMSOL, OpenFOAM
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電子機器系だとIcepakやFloTHERMが出てくるんですね。


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IcepakやFloTHERMはコンポーネントライブラリが充実していて、ファンカーブやヒートシンクのパラメトリック解析に特化している。内部的にはフーリエの法則+対流モデルで解いている点は同じだ。

Coffee Break よもやま話

チャレンジャー号事故とOリングの温度

1986年のスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故は、低温でOリングのゴムが硬化し、シール機能を失ったことが原因。打ち上げ当日の気温は0°C付近——設計想定を大きく下回っていました。現代の熱-構造連成解析なら「0°Cでゴムの弾性率がどう変わるか」「シール面の接触圧が維持されるか」を事前に検証できます。温度依存材料特性の重要性を、最も痛ましい形で教えてくれた事故です。

ツール選定の直感的ガイド

ツール選びのたとえ

熱解析ツールの選定は「調理器具の選び方」に似ている。電子レンジ(汎用FEA)は手軽に温められるが細かい制御は難しい。プロの厨房のガスオーブン(専用CFDソルバー)は精密な温度制御が可能だが操作が複雑。用途(電子機器冷却 vs 工業炉設計)に応じた選択が必要。

選定で最も重要な3つの問い

  • 「何を解くか」:フーリエの法則に必要な物理モデル・要素タイプが対応しているか。例えば、流体ではLES対応の有無、構造では接触・大変形の対応能力が差になる。
  • 「誰が使うか」:初心者チームならGUIが充実したツール、経験者ならスクリプト駆動の柔軟なツールが適する。自動車のAT車(GUI)とMT車(スクリプト)の違いに似ている。
  • 「どこまで拡張するか」:将来の解析規模拡大(HPC対応)、他部門への展開、他ツールとの連携を見据えた選択が長期的なコスト削減につながる。

熱解析の境界条件設定は経験と試行錯誤の繰り返し。 — Project NovaSolverは、実務者の知見を活かしやすい解析環境の実現を研究しています。

Project NovaSolver — CAE実務の課題に向き合う研究開発

「フーリエの法則をもっと効率的に解析できないか?」——私たちは実務者の声に耳を傾け、既存ワークフローの改善を目指す次世代CAEプロジェクトに取り組んでいます。具体的な機能はまだ公開前ですが、開発の進捗をお届けします。

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